北畠の将棋教室 後手△3三角からの矢倉!第1回 2014/04/11

 田中寅彦著に「後手無理矢理矢倉」がある。逆に言えば、題名通り大変だと認めている。居飛車党でも、後手番の角換わりや相掛かりは好きではないということから、2手目△3四歩。
 しかし、△4二銀の前にすぐ▲2五歩、△3三角の場合は、矢倉に組みにくい。それでも矢倉を目指すと、絶対不利とは言わないまでも、主導権は先手にある。一番の要因は後手の△4二角の感触が悪いことにある。かと言って、全て駄目なわけではない。私が研究した有力な対策もあります。

北畠 悟


後手△3三角からの矢倉!【基本図】

  

北畠の将棋教室 後手△3三角からの矢倉!第2回 2014/04/18

【基本図】から(△5二金右〜△4二角)

    

 △5二金右、▲5六歩、△4三金、▲7八銀、△2二銀、▲7九角、△4二角、▲2四歩、△同歩、▲同角、△同角、▲同飛、△8八角、▲7七角、△9九角成、▲同角、△2三香、▲同飛成、△同銀、▲2八香、△2四歩、▲4六歩、△3三桂、▲4五歩、△同歩、▲4四歩、△4二金引、▲2二角、△3二金上、▲1一角成、△4一飛、▲4三香で先手良し。
 △3三桂で△3三金には▲3六歩〜▲3九金〜▲3七桂から▲4五歩を狙う。△4一飛で△3一飛は▲3三馬、△同金直、▲4三桂で攻め切れる。なお、9筋の歩の突き合いがある場合、△9五歩が成立するので注意。


【基本図】から(△5二金右〜△3二金)

    

 △5二金右、▲5六歩、△4三金、▲7八銀、△2二銀、▲7九角、△3二金、▲7七銀、△5四歩、▲5八金右、△4一玉、▲2四歩、△同歩、▲同角、△同角、▲同飛、△2三銀、▲2八飛、△2四歩、▲6六歩、△6二銀、▲6七金、△5三銀、▲6八玉、△3一玉、▲7八玉、△1四歩、▲1六歩、△2二玉、▲5七銀、△3三桂、▲9六歩、△9四歩、▲6八金直、△4五歩、▲6五歩、△4四銀、▲6六銀左で先手十分。
 若干作った感はあるが、妥当な手順だと思う。手数が長くなったが、少しずつ解説します。
 △4二角で△3二金も有力である。ポイントとして、まず▲2四歩のタイミングが大切であり、▲6六歩を先にすると、▲2四同飛の時、△5五歩で紛れが生じる。
 角交換後、▲6八角打、△4二角(5一角)打も有力。
 角交換後、▲6八角打、△4二角(5一角)打も有力。
 結果図は後手一見理想型だが、次の有力な手がない。△3五歩には▲4六歩で▲7一角の狙いがある。△8四歩〜△8五歩には▲7七玉から入玉を狙う。


北畠の将棋教室 後手△3三角からの矢倉!第3回 2014/04/25

【基本図】から(△8四歩)

    

 △8四歩、▲7八銀、△8五歩、▲7七銀、△2二銀、▲5六歩、△4二角、▲7九角、△3三銀、▲3六歩、△5二金右、▲3七銀、△4三金、▲3五歩、△同歩、▲同角、△5四歩、▲7八金、△3二金、▲6六歩、△6二銀、▲6九玉、△4一玉、▲5八金で先手十分。
 以下、△4五歩には▲6八角、△5三銀、▲4六歩。△5三銀には▲3六銀、△7四歩には▲4六角。△3一玉には▲7九玉。▲3六銀を急ぐと、△3四銀、▲6八角、△6四角、▲4六歩、△3五歩で悪い。
 なお、△5二金右で当然のように思われる△5四歩では、▲3五歩、△6四角、▲4六角、△同角、▲同歩、△3五歩、▲2四歩、△同歩、▲4三角があるので注意。

【基本図】から(△9四歩)

    

 △9四歩、▲5八金右、△5二金右、▲5六歩、△2二銀、▲7八銀、△4三金、▲7九角、△4二角、▲7七銀、△3三銀、▲6六歩、△5四歩、▲6七金、△3二金、▲6八玉、△6二銀、▲7八玉、△4一玉、▲3六歩、△7四歩、▲3七銀、△3一玉で互角。
 私が研究した最有力な対策である。実戦でも経験がある。△9四歩は単なる手待ちではない。先手はすぐ▲9六歩とはしにくい。▲5六歩なら△2二飛もあるので▲5八金右が妥当な手。ただし、この場合は飛車打ちがあるので、2筋の交換ができない。(△5二金〜△4二角)

    

 結果図から、▲3五歩は△同歩、▲同角、△4五歩、▲7九角、△6四角、▲3六歩、△5三銀、▲4六歩、△同歩、▲同角、△6二飛で互角。▲2六銀は△7三桂、▲3五歩、△6四角、▲4六角、△5三角で互角。なお、△7三桂で△4五歩は▲4六歩、△6四角、▲3七銀、△4六歩、▲同角で▲6九金が角打ちを消して後手損。
 先手早囲いプラス後手△4二角の一手損のため、後手の駒組みは、やや立ち遅れている。よって、後手△3三角からでも矢倉を目指すのはリスクがあり、互角になれば上出来と考える。
 
<了>


TOP